ローマ帝国の皇帝カリギュラ(小栗旬)は、妹と近親相姦の関係にあった。その妹が急死し、カリギュラは失踪する。
貴族たちが動揺する中、カリギュラは恐るべき暴君に変貌して戻ってきた。
忠臣のエリコン(横田栄司)や愛人のセゾニア(若村麻由美)を従え、残虐非道な行為に走るカリギュラを見て、人々は恐怖と怒りに震える。
評価=☆☆☆☆ (5点満点)
はっきり言って難解です。
DVDの特典映像として収録されている《5人のキャストによる座談会》でも、主演の小栗さんを始め、皆さんが「難解だよね!」と語っておられる。アルベール・カミュ、恐るべし。
しかし難解は難解だけど、時間をかけて噛み砕けば、いつかは飲み込めるんじゃないかという気はします。ものすごく堅いお煎餅みたいなもの。噛み砕くべき内容がちゃんとある。無内容で意味が分からない愚作とは違います。
カリギュラ(百科事典などでは「カリグラ」と表記されています)は第3代のローマ皇帝で、いろいろ調べてみると、最初のうちはイイやつだったみたい。それが急に暴君となり、原因は精神病とも言われますが、本当のところはよくわからないそうです。
わからないからこそアルベール・カミュさんも創作意欲をそそられたのでしょう。カミュさんが作り上げた皇帝カリギュラは、愛する妹の死にこの世の不条理を知り、愛を得るだけでは満足できなくなり、入手不可能なもの――たとえば、月――を手に入れたいとゴネるのです。
ゴネる子供なら、なだめることも出来ます。しかし相手は皇帝。自分の欲求が満たされなければ即刻死刑という恐怖の技を繰り出します。手のつけようがありません。
こんな訳の分からんカリギュラを、演出の蜷川幸雄さんがおっしゃるところの「ワルそうで、利口で、セクシャルな」小栗旬くんが演じると、危険で美しい暴君が生まれてしまう。
このお芝居の稽古の模様は、TBS『情熱大陸』で放送されました。腰に布を巻いただけの姿で長い足を投げ出して椅子に座る小栗くんを見て激しくクラクラしました……。
『情熱大陸』では放送されなかったけれども、お芝居の中では、さらにクラクラ度の高い衣装もありました。小栗旬ファンでお芝居を見にいけなかった人には必見のDVD『カリギュラ』です。
もうね、理屈じゃないの。セリフの意味がすみずみまで分からなくてもいい。言葉を超える何かが伝わってくればいいんですよ、ええ。
普通にやれば「難解」で終わってしまうお芝居に小栗旬を連れてくることで、私のようなミーハーな女の心をつかむ一大エンタテインメントが生まれたわけでございます。うぅむ。やはり蜷川さんは凄かった。演出も、商売っ気も。
やっぱりナマのお芝居を観にいきたかったなあ。機会があれば次こそは是非。
お芝居のカーテンコールっていいですよね。お芝居が終わって、役者さんたちがホッとしたような、まだ役に半身を入れたままのような、どちらともつかない表情をしてらして、2回3回とカーテンコールを重ねるうちに、だんだん表情がほぐれて笑顔になってくる。あの笑顔が好きです。

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