津村記久子【カソウスキの行方】 

本社から郊外の倉庫へ飛ばされた「イリエ」は、文具の通販カタログを読みふけって、退社までの半端な残り時間をすごす。

帰りは畑の間の道を自転車で走る。都会と違って近くに店がないから寄り道もしない。いちばん近いショッピングモールまではバスで15分もかかる。きちんとメイクして出勤することに徒労感をおぼえる。不幸中の幸いは、大学時代の友人の「しおり」と同居していることだ。

すぐ近くに話せる相手がいることでイリエの精神状態は安定を保っていたが、そのしおりの結婚が決まったという。イリエはやけに寒さを感じながら、しおりの話を上の空で聞いた。


カソウスキの行方カソウスキの行方
(2008/02/02)
津村 記久子

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評価=☆☆☆  (5つ星が満点)


イリエは28歳の独身女性。でも口調が男っぽいし、イリエが名字なのか名前なのかもよくわからないので、読み始めはイリエが男か女か、区別がつきませんでした。

文章が全体的に読みにくい。「だれが」「なにをしたのか」がパッと頭に入ってこないので、読み始めはなかなか脳内映像化しにくかったです。

本書には短編が3つ収録されていますが、どれも大まかなテイストと文章の読みにくさは変わらず、表題作を読んだら残り2つは斜め読みになってしまいました。正直、これで長編を書かれたらキツイ。



それでも表題作をときどき反芻するようにして読んでいると、イリエの心模様がなんとなくわかるし、意外に笑いどころがありました。「兵馬俑の柄のノート」ってどこに売ってるんだろう。いや、売ってても別に欲しくはないけど。

これが兵馬俑。
兵馬俑


ドラマ化できそうな気さえします。「イリエ」には篠原涼子……と言いたいところですが、結婚・出産を経た今では、こういう独身女性の役柄も似合わないでしょう。

山田優でどうでしょうか。

山田優


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[2008/07/17 13:10] た行の作家 | TB(2) | CM(2)

コメントありがとうございます

「兵馬俑」は「へいばよう」ですね。広辞苑には「しこうてい‐へいばよう‐こう【始皇帝兵馬俑坑】」として出ていました。とくに可愛らしいキャラクターとも思えませんが、個性的な柄のノートができそうです。

中国陝西省の始皇帝陵(驪山)の外城の東にある巨大な土坑。3か所あり、1号坑は東西210m、南北60m。ほぼ等身大の士卒や軍馬などの陶俑を多数埋納。1975年発見。
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]

[2008/07/22 12:36] ぱんどら [ 編集 ]

こんばんは。
兵馬俑ってどんなものなんだろう。
(そもそも何て読むのかがわからず、コピペしました)
って疑問に思っていたので
写真すごく嬉しかったです。
こんな柄のノートを買う主人公、かなりかわってますね。
[2008/07/18 19:21] なな [ 編集 ]

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カソウスキの行方  津村記久子

率直に面白かったです。今回の芥川賞の候補作の中では、おそらく一番自分好みの作品だと思います。いつくつか読んでないのもあるので断言は出来ませんが、過去の著作からそれぞれの作風は想像はつきますので。 絲山さんにかなり感じが似ているから、それもあるのだとは思...
[2008/07/26 21:57] URL 今更なんですがの本の話

「カソウスキの行方」津村記久子

カソウスキの行方 津村 記久子 JUGEMテーマ:読書 第138回芥川賞候補作「カソウスキの行方」「Everyday I Write A Book」「花婿のハムラビ法典」の3つの短編。 またまた不思議な物語。「カソウスキの行方」ってタイトルは「仮想好き」...
[2008/07/18 19:21] URL ナナメモ