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宮部みゆき【火車】 

刑事の本間俊介は、親戚の栗坂和也に人探しを頼まれた。

婚約者の関根彰子が失踪したという。しかし和也は親や会社の目が気になって興信所を使えない。

本間刑事は休職中だが、話を聞いて放ってはおけない。やむなく警察組織に頼らずに調査を始め、心身をすりへらしながら、自己破産した過去を持つ彰子の足取りを追う。


火車 (新潮文庫)火車
(新潮文庫)

(1998/01)
宮部 みゆき

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評価=☆☆☆☆☆  (5つ星が満点)


読後に少し泣きました。悲しいのか、感動したのか。涙の意味は自分でもよくわかりません。宮部みゆきさんの最高傑作に挙げたい本です。

☆を100個も並べようか。それとも巻末の解説で佐高信さんが書いておられる「酩酊するような読みごこち」という言葉を引用して「そのとおり!」、本書の凄さはお読みになれば分かります――で済ませようか。

激しく心を打たれると、ブログに並べる言葉も思い浮かびません。ああシロウト読書人の浅はかさ。

この作品は平成4年に単行本が出て、平成10年に文庫化され、それを私が手にするまでさらに10年かかりました。



関根彰子はクレジットの支払ができずに自己破産した過去を、婚約者の栗坂和也に知られ、そのまま姿を消します。

つまり彰子は金遣いが荒くて道を踏み外した、いわば人生の落伍者なのか? そんな印象を覆す凄絶な事実を、本間刑事は調査を進めるうちに知ります。

私自身もクレジットカードを持っているし、過去には支払を少し遅らせてしまったこともあります。物欲に負け、「カードがあるからいいや」と考えがちな心の弱さを鋭く突かれるのではないかと思い、この本を読むのをためらっていたのです。

しかし、それだけの本ではありませんでした。



ラストシーンが何とも言えない光を放ちます。癒しとか赦しといった意味合いの優しい光ではありません。

あってはならない罪がある。重大な社会問題もある。

文字をつらねて丹念に言葉を紡いで紡いで紡いで、罪を描き社会問題を描き、それらの言葉すべてを超越する光が、このラストに満ちているのです。

宮部さんの凄さを思い知りました。



妄想キャスティング。

この傑作をあえて映像化することもなかろうと思いますが、もし映像化の話があるとすれば……

過去を持つ美貌の女、「関根彰子」に栗山千明。

栗山千明



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[2008/06/22 18:08] ま行の作家 | TB(3) | CM(6)

コメントありがとうございます

あ〜そうなんですか! ぜんぜん知りませんでした。ありがとうございます。レンタルで観られるものでしたら観てみますね。
[2008/07/16 10:02] ぱんどら [ 編集 ]

宮部みゆき「火車」

かなり昔ですが、本間刑事-三田村邦彦、関根章子-財前直見で映像化されています。原作に忠実でよくできていましたよ。
[2008/07/13 00:21] torajya [ 編集 ]

コメントありがとうございます

いや〜なんというか、驚異的な作品でしたね。これほど良いとは思いませんでした。読む前は、ただただ重苦しいような雰囲気かと思い込んでいたので。読んでみたら一言では表せない、本当に凄い本でした。
[2008/06/25 10:07] ぱんどら [ 編集 ]

この本は本当に大好きなんです。
読んでる最中は本間刑事に感情移入していたのに、読み終えて見ると彰子の生き方について考えてる、というかんじです。
印象的な場面がたくさんあって・・・。
何年か置いて読み返しても、夢中になってしまいます。

ぱんどらさんも高く評価してくださって、
なんか嬉しくなってしまいました。

[2008/06/25 09:39] 千砂 [ 編集 ]

コメントありがとうございます

時代物もいくつか読んでおりますよ。たいへん面白かったです。どれも文章が読みやすく、こめられた情感が深くていいですね。
[2008/06/23 13:14] ぱんどら [ 編集 ]

近年のクレジットカードに関する問題を先取りした、作品でしたね。
宮部さんのすごいところは、文章が読みやすいのに語られることに重みがあるところです。
また、時代物もよくできています。
未読でしたら、是非、彼女の時代物も読んで頂きたいですね。
[2008/06/23 10:43] メデューサの瞳 [ 編集 ]

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