シナリオライターの奈三子は、プロデューサーの河邑ユニから「叶紅子に会ってみれば?」と唐突に切り出された。
28年前に引退した女優の叶紅子は奈三子と血のつながった伯母。河邑ユニは紅子の引退劇にスキャンダラスなミステリーの匂いをかぎとり、番組にしたいと目論んでいるようだ。
しかし奈三子にとって紅子の記憶は、これまで思い出すことさえ拒みつづけてきた切実なものであった。
評価=なし
「叶紅子」のモデルと思しき、筒井さんの伯母様(本当に女優さんだそうです)のことは、エッセイ集
『舌の記憶』に書いてあります。
感受性ゆたかで文才のある人が、独特の雰囲気のある女優さんと長く生活すれば、エッセイなり小説なり書いてみたくなるのは自然なことでしょう。
ただ、私は先にエッセイのほうを読んだので、あとから小説を読むと、著者が自身の生い立ちをベースに、ところどころ設定を変えながら書いているのが透けて見えてしまい、目が文字を追うのを拒否しやがりました。
恐縮です。
ひんやりした文体と作風はけっこう好きかも。
