ちょっとした偶然がつくりだす、忘れられない瞬間を淡々と綴るエッセイ集。
著者みずから目次を組んだ独自編集。翻訳は柴田元幸。
評価=☆☆☆☆ (5つ星が最高点です)
オースターさんの貧乏生活、ご本人にはさぞ辛かったと思いますが、これが読むと面白い。
若いころから作家になりたいという気持ちはあったものの、「とりあえず一般企業で働いて生活費をかせぎ、あいた時間に作家活動をしよう」なんて、さらさら考えてなかったみたいです。
貧乏生活の最大の原因は、オースターさん自身にあったわけですね。
かといってご自身を責めるわけではなく、痛々しい悲壮感もなく、「若いころのオレってバカだったな〜」という軽い笑いを含みつつ、力いっぱい走りつづけた青春時代を懐かしむお気持ちが見受けられます。
いい本です。
訳者あとがきによりますと、オースターさんのエッセイ集は英語圏で増刷されるたびに収録エッセイ・インタビューが増えていて、このようなやりかたにオースターさん自身は納得なさっていないとのこと。
本書は「日本で次にエッセイ集を出すならこうしてほしい」というオースターさんの希望のもとに出されたものだそうです。
オースターさんが"True Stories"という本を書き、それを柴田さんがそのまま訳したというわけではありません。原書で読みたいとお考えのかたはご注意を。
