東京都内で起こった連続女性誘拐殺人事件。奔走する刑事たち、犯人像を追うフリーライター、被害者家族と加害者家族の苦悩。
それらを高いところから見おろす犯人の冷酷な視線。
読後の印象を一言で言えば、ものすごく精緻に作られた箱庭みたいな小説、かな。
まず殺人事件が起こり、犯人が事件の関係者を自分の好きなように箱庭に配置し、それを上から見て面白がっている姿があります。
で、この犯人が警察に追われたり、事件の関係者が苦悩したりする様子は、もちろん著者の手で作られた虚構という名の箱庭。現実の世界そっくりの、よく出来た箱庭で、「力作!」と絶賛すべき素晴らしい作品だと思います。
箱庭とか鉄道模型とかジオラマとか、ああいうものって見てると飽きないでしょ。ただ、あくまでも箱庭は箱庭であって、現実の世界とは別物。
まず気になったのは、利発な子供が鋭い言葉を発したり、鋭い感受性を発揮して異様な状況に気づいたりして、事件の解明に一役も二役も買うこと。現実には絶対ありえない――とは言わないけど、確率は低そうです。
宮部さんの作品では現代ものでも時代小説でも、「聡い子供」の登場率が高いですね。そこに宮部作品の面白さの一端があると思うから、否定はしません。
否定はしないけれども、現実との乖離を感じてしまう。
それに犯人の精神構造がすごくもろい。知能が高いやつで、なかなか弱点を見せないけど、ある一点を突かれるとボロボロボロボローっと一気に崩れてしまう。
もちろん犯人がいつまでも崩れず、弱点が一つもなかったら、怖くて仕方ないけどね。とくに私なんか怖がりだから、たとえ本の中のことでも眠れなくなります。
だから崩れてくれて大いに結構だし、その場面は痛快でさえあるのだけど、こんなに簡単に事件が終わったら、だれも苦労はしないなあ……と思うわけです。
そして事件は終わっても、被害者が生きて戻ってくることは絶対にない。被害者の遺族が浴びるように酒を飲む姿は悲痛でした。
この作品は既に文庫化されていますが、今回は単行本の上・下巻2冊を中古で買って読みました。きめこまかく作りこまれた、たいへん素晴らしい作品ではあるものの、結末に救いを感じることはできず、これを二度は読めないなぁと思います。
妄想キャスティング。
本書はSMAPの中居くんの主演で映画化されているので、読むと初めのうちは中居くんの顔が浮かび、テレビCMなどに登場する中居くんを見て胸騒ぎをおぼえるほどのアホな妄想読書人ぶりを発揮した私です。
しかし上巻を読破して下巻にさしかかるころには、オリエンタルラジオの藤森さんに変わっちゃってました。知的な役、藤森さんは結構ハマりそうな気がしますが、いかがでしょうか、テレビ業界の皆様。

たまねぎさん毎度どうも! 映画のキャスティングはよかったのですね? こんど見てみることにします(今ごろかい!)。しかし前畑滋子に木村佳乃というのはイメージが合いませんね。『楽園』のほうは図書館で人気が殺到していて、なかなか借りられずにいるのですが、こちらもいずれ読んでみることにいたしましょう。
[2008/04/28 10:09]
ぱんどら
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映画版は2時間という制限がある分、犯人のところにスポットが当たっていて、ちょっと重厚さに欠ける所がありました。でもキャスティングはかなりよくて、中居&津田はじめだれもがビタッとはまってました。今やるならこの案もありかもしれませんね。後、前畑滋子を木村佳乃が演じていたのですが、彼女の底にある強さを出すには少し物足りなかったので、誰かいい人がいれば。
それと結末に救いということでは『楽園』の方にゆだねられた様に思います。今回続けて読んでみて、前畑滋子を宮部さんがもう一度書こうとした理由が分かったような気もするし、やはり時間と言うものが必要なんだなあと感じました。とはいえ私もこの本を再び開くことは無いんでしょうが。
[2008/04/27 16:34]
たまねぎ
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いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました。気楽にお楽しみくだされば幸いです。一口に「充実したブログ」と言っても、何をもって「充実」とするかは人それぞれですね。必ずしも多読がよいとは限りません。一冊の本をじっくり読み込んで長く記事を書くのも一つのやりかただと思います。お気楽にまいりましょう。
[2007/10/31 12:51]
ぱんどら
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初めまして。こうして、何人の方からかTB頂いたりコメント頂いて訪問させていただくと、皆さん沢山の数の本を読んでいて、ブログもとても充実していて、どうすればこうなるのだろう?と羨ましく、同時に自分が情けなくなる感もあり・・・です。
この「模倣犯」ご覧になったかもしれませんが、かなり長い感想になってしまいましたが、こちらからも遅らせていただきたいと思います。掲載はお任せで了承しています。
[2007/10/30 21:54]
sato
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こんにちは。ようこそいらっしゃいました。最後の場面は、あの攻撃のしかたでよく犯人が落ちたもんだなぁと思いました。あれはすごいギャンブルですよね……。あれでダメだったらどうするつもりだったのか(笑)。
[2007/08/30 16:30]
ぱんどら
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こんにちは。
最後の方の白状する場面は、確かに呆気なかったですね。
あっという間というか。
もうちょっと言い合いとか、駆け引きがあれば面白かった気もします。
読んでる途中で中居くんを見かけるとドキドキするというのは、私もありました(苦笑)。
オリラジでは先に中田あっちゃんのほうを妄想キャスティング(伊坂幸太郎『砂漠』)に登場させているので、今度は相方の藤森さんのほうを出してみました。コンビで片方だけ売れちゃうってちょっと寂しいですもんね。
[2007/07/31 15:35]
ぱんどら
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なんとくわかります。藤森さん(笑)
結末に救いが見いだせず・・・って気持ちよくわかります。
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「模倣犯(上・下)」
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2001-03
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宮部みゆき『模倣犯』
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[2007/08/19 23:27]
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ちゃと屋の本棚
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[2007/07/29 18:32]
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個人的読書
模倣犯
[2007/07/26 00:00]
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よこたろうBOOKS