恩田陸【木曜組曲】 

天才と呼ばれた耽美派の作家「重松時子」に大きな影響を受け、時子の死後もその影響から逃れられない女性作家たちが年に一度、集まって生前の時子を偲ぶ。その日が今年もやってきた。

彼女たちは時子の親族であり、同じ作家として喜びや苦労を分かち合える仲間であり、手段を選ばず蹴落としたい敵どうしでもあった。

時子の死には謎が多い。警察の捜査では「自殺」とされたものの、彼女たちは様々な思いを胸に抱え込み、それをはっきりと言葉にすることができない。

この膠着状態を破るべく、一計を案じた者がいた。


木曜組曲 木曜組曲
恩田 陸 (2002/09)
徳間書店

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女たちは戦いの幕を開ける。それは作家の豊かな想像力ひとつを武器として繰り広げられる心理戦だ。身体ではなく、心にザックリと傷がひらいて血が流れ出る。

そんな中でも女たちは大いに酒を飲み、大いに美味いものを食べる。天才作家の死の真相がどんなものであろうと、朝と夜は代わる代わる訪れる。人は眠り、目覚め、食事をする。

天才作家から受けた影響がどんなに重く大きいものであっても、それを女たちは養分として吸収し、自分の花を咲かせようとする。

頭の中は妄想でいっぱいなようでいて、その片隅にある醒めた目が現実を見すえている。



美しくて怖くて、食べものが美味しそうで、女たちの服装まで細かく描写されていて、本当に五感を刺激されそうな作品。

あ、そうだ。

自分でもワインを飲みながら、本書に書いてあるものと同じものを食べながら読めば、完璧に五感に来るね――って、お行儀わるいですね。はい。せっかくの本を汚しそうなので、そういうことはいたしません。



作品中の女性たちの関係はかなり複雑。

「とにかく重松時子の親族なんだ」と大ざっぱに捉えるか、系図を書きながら読むかは読者の自由。

私は系図を書いてみたけど、それもけっこう楽しいよ。


[2007/07/17 16:00] あ行の作家 | TB(1) | CM(5)

コメントありがとうございます

ん〜やっぱり映画もDVDで見てみようかな。なんか本を読んだだけで映像がイメージできてしまって、映画では既視感がありそうで、どうしようかと思っていたのですが、素人の妄想で映画なみに妄想できたら映画監督になれちゃいますよね〜。素直にいこう、素直に。
[2007/07/31 15:15] ぱんどら [ 編集 ]

映画もなかなかでした

これが映画になるとみなさん実に美味しそうに料理を食べていて、お腹が鳴りそうになるんですよ。

[2007/07/19 23:28] たまねぎ [ 編集 ]

コメントありがとうございます

くままさん、私も恩田さんの本を読んでいるのは、ここ1年くらいなんですよ。結末にやや疑問が残る作品もあることはありますね。『キサラギ』ってどういう映画なんだろう。あとで調べてみます。

BEEさん、文庫本の表紙カバーに映画の写真がありまして、それを見たら主要なキャストは予想がつきました。浅丘ルリ子さんが雰囲気を出してますね。

[2007/07/19 10:07] ぱんどら [ 編集 ]

一番好き

おはようございます〜。
恩田フリークの私の中で、
ナンバーワンに輝くこの作品。
映画化もされたようですが、
キャスティングも絶妙ですよ。
会話劇、心理戦、豊かな食卓、
どの部分を切り取っても絵になる
作品ですよね。
[2007/07/19 08:46] BEE [ 編集 ]

連想ゲーム

恩田さんは苦手なのですが、あらすじを読んで、映画「キサラギ」とよく似ているなあ、と思いました。
多分、偶然ではないのでは?
[2007/07/18 17:18] くまま [ 編集 ]

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木曜組曲  恩田陸

木曜日の前日。今年もM市の外れにある洋館に女たちが集まりだしていた。耽美派小説の巨匠、重松時子が自室で服毒自殺を遂げたのが四年前、二月の第二週木曜日だった。あれ以来、時子に縁がある5人の女たちは『重松時子を偲ぶ会』として、毎年その木曜日をはさんだ....
[2007/07/19 23:52] URL 今更なんですがの本の話