クリント・イーストウッドがメガホンをとり、太平洋戦争中の硫黄島での激戦を描いて話題を呼んだ作品。
主なキャストは下記の通り。
栗林(陸軍中将) 渡辺謙
西郷(陸軍一等兵) 二宮和也
西(陸軍中佐) 伊原剛志
清水(陸軍上等兵) 加瀬亮
伊藤(海軍大尉) 中村獅童
花子(西郷の妻) 裕木奈江
現在の硫黄島は東京都小笠原村に属する。米軍の施設と海上自衛隊の基地があり、上陸には東京都の許可が要る。
もちろん観光目的ではダメで、上陸許可がおりるのは慰霊、遺骨の収集、戦史の研究、学術調査、基地の改築などに限られるようだ。
映画は、おそらく硫黄島で遺骨かなにかを収集する人々が、地面に埋まった物体をスコップで掘り出す姿から始まる。
スコップがズームアップされ、場面は切り替わって戦時中の硫黄島となる。
西郷(二宮和也)らが塹壕を掘っている。
「塹壕(ざんごう)」を広辞苑でひくと、「野戦で敵の攻撃から身を隠す防御施設。溝を掘りその土を前に積み上げたもの」と出ている。
しかし、溝を掘ったくらいで米軍の攻撃を防ぎきれるものだろうか。
新たに硫黄島守備隊の指揮官に着任した栗林中将(渡辺謙)は、米軍の強さをよく知っていたから、塹壕を掘る作業をやめさせ、計画を練りなおすが……
他の将校たちは栗林中将の計画に反対し、守備隊の指揮系統は大いに乱れる。
いくらトップが立派な人でも、中間管理職がアホだと、最下層の人々は困る。
戦時中だから、困るどころの話じゃない。生死を分ける大問題になる。太平洋戦争の結果を知っている後世の私たちには、「仲間割れしてる場合じゃないんだよ……!」と突っ込みたくなる光景だ。
案の定、硫黄島に攻め寄せてきた米軍は、量も質も日本軍を遥かに超えていた。
日本軍は武器どころか食糧や飲み水にさえ事欠く有様。
なのに、なぜ日本はアメリカと戦争なんか始めちゃったんだろう……。
それについては半藤一利先生の【昭和史】をご参照あれ。
さて硫黄島守備隊の面々は、故郷の家族に宛てて手紙を書く。栗林中将(渡辺謙)は子供たちを想い、西郷(二宮和也)は出産したばかりの妻(裕木奈江)を想う。
手紙を書いても、戦時中のことだから無事に届くかどうか分からない。それでも彼らは手紙を書かずにはいられない。
守備隊の奮闘も虚しく、硫黄島に最期の時が迫る。栗林中将は彼らの想いが詰まった手紙を西郷に託した。
クールな演技を通してきた二宮和也が、ラストシーンで感情を爆発させる。
中村獅堂の演技も凄みがあった。このかたは演技の幅が広いですねえ。良い役者さんなんだから、あまり週刊誌のネタにならないように私生活を引き締めてもらいたい。
渡辺謙は安定感がありますね。映画『ラスト・サムライ』も渡辺謙がいなきゃ箸にも棒にもかからない作品になっていたのでは……と個人的には思う。
ところで『ラスト・サムライ』では武士の着物や小道具などが微妙に変で、ものすごく違和感があって仕方がなかった。あれでハリウッドの人たちは「完璧!」と思ったのだろうか。日本人だって時代劇を作るときは、詳しい人に時代考証をお願いするのに……。
でも本作では『ラスト・サムライ』のときのような違和感はない。聞くところによると、【昭和史】の半藤先生からもお褒めの言葉が出たらしい。
シンプルなストーリーながら心に強く訴えかける作品であった。
イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』も見てみようかと思ってます。
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「硫黄島からの手紙」
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雑板屋
映画「硫黄島からの手紙」
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<花>の本と映画の感想
硫黄島からの手紙
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[2007/07/29 19:04]
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