便利屋〈ダブルフォロー〉奮闘記。
う〜ん……無念の途中リタイヤ。
「八月の熱い雨」というタイトルに惹かれて読んでみましたが、「熱い」というほど熱くないし、「雨」というほど泣けもしない。
便利屋〈ダブルフォロー〉の経営者は、皆瀬泉水(みなせ・いずみ)という男ですが、「25歳で彼女いない歴25年」と書いてあるだけで、他にこれといった特徴が見えず、妄想キャスティングのしようがありません。
もしかしたら途中でリタイヤせずに最後まで読みきれば、皆瀬という男のキャラクターも浮かんでくるのかもしれませんが……
文章が無味無臭だし、出来事が時系列にそって並べてあるだけで構成の妙もなく、読む気が急激に失せました。
同じ「便利屋」の話なら、
三浦しをん【まほろ駅前多田便利軒】のほうが面白いと思います。

2007年8月25日(土)のNHK教育テレビ『トップランナー』を見て、思わずアマゾンに注文してしまった画集です。
NHK『トップランナー』番組では、山口さんが大きな紙にむかって絵筆をふるったり、小さなスケッチブックにマジックで、スタジオ内の機材を描きとったりしておられました。
美しい男性に絵筆という武器がそなわったら、これはもう無敵であります。
そして語る言葉の端々に並々ならぬ知性と感性があふれている。
描き手も作品も興味深い。
山口晃 / Akira Yamaguchi -MIZUMA ART GALLERY-
私にとっては究極の「おいしい空気本」。
とにかく本書ではストーリーよりも空気を味わいたい。そんな短いお話がいっぱい詰まってる。
読み終えてしまうのが惜しい気がした。
ベッドサイドに置いといて、眠る前に少しずつ読むのもいいかも。
……というわけで、あまりゴタゴタ説明するのも野暮なので、これにて失礼。
同級生で、カッコいい男の子がいた。
背が高くて肩幅があり(まるで吉川晃司だ)、先輩に受けがよく、友達として楽しく、後輩に慕われ、どこかでケンカを売られても負けやしない。そういうやつ。
女の子にはモテた。というか、
狙った女の子を確実にとらえる技を知っていた。
「女にはアメとムチ。わかる? 怒る時にムチャクチャ厳しく怒って、その後でムチャクチャ優しくすんの。これで百発百中」
そんな話を人前で自慢げに披露するやつだから、やつを知ってる女の子はみんな警戒する。でもカッコいい男の子だから、つい気をゆるめてフラフラっとなる女の子がいる。
私は「こういうオトコには気をつけないとねー」と言いながら、やつの手中に落ちた女の子たちが味わうことになる
極上の甘みを想像して、ちょっとうらやましくなった。
甘みの後に待っている辛みや苦みも、やつを見ていれば想像がついた。それでも、ときどき磁石みたいに心が引き寄せられるから、やつとは常に適切な車間距離を保つように心がけていた。
その「適切な車間距離」が破られたかどうかは、あなたのご想像にお任せするとして。
この本を読んでいたら、もう長いこと会っていない「やつ」のことを思い出してしまった。
たぶん私が山田詠美の小説をまともに読んだのは、これが初めて。
山田詠美って、私の中では「Hっぽいものを書く作家」というイメージがあった。
そういう人が「絶佳」と言い切る「風味」って、ベッタベタに甘いんでしょ。私、ダメなのよ、そういうの。と勝手に思っていた。
でも女性に人気があるよね、山田詠美って。「大好き!」とか言っちゃう人も多いし。この【風味絶佳】も、世間ではすごく評判がいい。
そんな世間の風に押されるようにして、思いきって読んでみたけれど、これはいいね。
甘くとろけるような場面はあるけど、ほんの少しの苦みや辛みが添えられて引き締まってる。まさに風味絶佳。山田詠美ってすごいな。
でも、こういうのは小説の中だけでいい。
私は根性ナシ子だから。
アメとムチの男なんて、思い出だけで充分に痛い。